2008 今治の夏 〜夏の遊び方教えます6〜

バナナトラップを初めて仕掛けた日の夜と翌朝の驚きは、今でも忘れられません。バナナを足元の側溝に置いた外灯は坂の途中にあり、懐中電灯で地面を照らしながらそこを目がけて下って行くと、目に飛び込んできたのはその罠へと悠然と歩く特大のヒラタクワガタの♂!失神しそうになる程驚喜し、捕まえるや否や宿に戻り、両親に見せたのを、鮮明に憶えています。ヒラタクワガタを死骸でなく手にしたのは初めてでしたし、ましてや6センチを越える立派な♂。その夜は、足元や口元にオレンジ色の微毛を携えた、さながら虫の王者のようなヒラタクワガタの姿に飽かず見とれ、興奮し、ちゃんと寝られませんでした。

ところが翌朝もっと驚くことが。

6時に起き出して、昨夜の出来事を噛み締めるように思い出しながら歩いて行き、そのトラップを覗くと、なんとなんと、バナナの下にまたまた同じくらいの特大のヒラタクワガタの♂!!昨日と同じだ!と思うと同時に、いや待て、あれは正夢だったのか、今初めて捕まえたのか?となかば錯乱状態に陥り、急いで部屋に引き返し、前夜採ったのが夢でもなんでもないのを、さらに今朝の獲物も現実であるのを、並べて確認しました。これがまた1ミリと違わない大きさのそっくりの2匹で、僕は狐につままれた気分になり、正直言うと、今となってはあれはやっぱり夢だったのではないか、とさえ思うのです。

バナナトラップと言っても、本に書いてあるようにストッキングに入れたりはしません。スーパーで見切り品として売られている黒ずみ始めた安いバナナを、ただ潰しながら置いて行くだけ。この時期なら潰したバナナを夕方の陽射しに晒すだけで発酵し、夜には甘酸っぱい香りを放ってくれますし、ストッキングを使うと回収するのが大変です。あちこちで木に干涸びたストッキングが放置されているのを見ますし、この10年くらいは湯ノ浦でさえそれを目にする機会が多くなりましたが、仕掛けた人は責任もってちゃんと回収して欲しいものです。そうそう、前の記事のコメントにも書きましたが、パイナップルをお酒に浸けて作った本格的なトラップを使うこともあります。こちらの方がさらに効果がある代わり、パイナップルをカットし、お酒で発酵させる準備を考えると、バナナの方がお手軽でお薦めです。

幸先よく2匹を捕まえて以来、外灯バナナトラップに夢中になりました。それまではカブトムシとノコギリクワガタだけだった獲物が、ヒラタクワガタが確実に採れるようになり、ターゲットはだんだんヒラタだけになっていきました。ところがその奇策を思いついた直後くらいの20年ほど前から湯ノ浦地区は開発が進みました。クアハウスができ、やがて、空き地にホテルが林立するようになると、明かりの数が膨大になり、外灯巡りはバナナをもってしても再び非効率な採集方法に戻ってしまいました。今では外灯には期待せず、小さい頃は片手で揺らせたのに30年近くかけて大きく成長し、樹液を出してくれるようになったコナラや、たぶん他の採集者はほとんど見逃してしまうのであろう、カミキリムシに荒らされているシラカシの樹液、さらにはそこにバナナを置くことで採集しています。

P1010046.jpg今治市某所にある、カミキリムシが巣食いあちこちから樹液が染みるシラカシの木。関東ではボクドウガの幼虫が豊富な樹液を生み出していることが多いけれど、今治ではそれよりもシロスジカミキリにやられて穴だらけになったところから細々と樹液が出ているのが目立つ。ヒラタはそんな木の割れ目に潜んでいるけれど、バナナの誘惑にはあっさり出てきてしまう。

開発はしまなみ海道の建設に伴うもので、湯ノ浦地区だけでなく今治全体で進み、山が切り開かれ、道路が増えました。大きな木がどんどんなくなったのと乾燥化で、ヒラタクワガタの個体の小型化と、乾いた土地でも生きていけるノコギリクワガタの数の増加が目立ちます。記録をずっとつけているのですが、ヒラタは最初に採集した2匹の大きな♂以降、それを越える大きい個体を自分の手では捕まえることができていません。97年と2000年に、湯ノ浦ハイツの現支配人の阿部さんが60ミリ半ばの特大個体を捕まえておいて下さった以外は、5センチを越えるのさえ珍しくなってきました。市内にあるペットショップを覗いても同じ傾向で、大物はほとんど見かけません。一方で、僕は捕まえてきたヒラタを繁殖させ、湯ノ浦ハイツの夏の催しに使っていただいたり、山に帰したりしています。今年は樹液の下で、鳥に食べられて死んだ大きな♂の頭を久々に見つけました。開発が落ち着き、木も育ち、あるいは少しずつ以前の姿を取り戻してきてくれているのかもしれません。

00WD02.jpg2000年6月に湯ノ浦ハイツの明かりに来たのを阿部支配人が採集、僕にプレゼントしてくれた64ミリの♂。かっこいい〜。阿部さんは僕の毎年止むなく続く虫採りを見ているうちにご自身でも興味をもたれてしまい、今ではちょっとしたカブトムシ・クワガタ博士。僕が訪れるのは最盛期を外れてもいるし、一方、阿部さんはばりばりの今治っ子ということもあり、ヒラタ採集は阿部さんの方が僕よりずっと上手。最近はお忙しくてフィールドに出られないみたいで、以前のように3年おきに大物を捕まえてくれていることはなくなってしまったのが残念だけれど、今治の色んな場所をご存知なので、子供とカブトムシやクワガタを採集したいお父さんお母さんは、来年の夏、是非ご相談を。きっと嬉々として教えてくれるでしょう。そんな宿、湯ノ浦ハイツを置いてそうそうないです。ハイツの皆さん、来年はまた展示用に里子に出しますからね〜。







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2008 今治の夏 〜夏の遊び方教えます5〜

夕飯の後、まだ、遊びがあるのです。クワガタ採りです。

僕は東京都市部育ちのくせして、小さい頃から昆虫少年で、特に、自宅の台所にコクワガタが飛んできて以来、クワガタやカブトムシが大好き。いや、高校生くらいから、カブトムシにはそれほど燃えなくなったなぁ。がさつですぐに飼育ケースを汚すし、寿命は短いし。しかも今住む成田ではいつでも捕まえられますから。そうは言いつつ、相変わらず嫌いでもないです、夏の象徴として。P1070521.jpg

家の近くで見つけたカブトムシ。成田には武蔵野のような広い雑木林は少ないので、谷津田の周りの土手に生えているクヌギやコナラ、農家の防風林として植えられているシラカシ、それに湿地に群生するヤナギを探すのがコツ。もう一つ加えると、大きなカブトムシを見つけたければ、農家の庭や畑にある木を探させてもらうのがお薦め。林の腐植土中で育つよりも畑用の堆肥で育つ方がずっと大きくなる。


僕の生まれた1970年代、東京の山の手では屋敷林が急速になくなり、小学生の時にはすでに、昆虫の生態に詳しい大人でもない限り、クワガタ・カブトムシを簡単に採集できる環境はありませんでした。だから、今治滞在する1週間は、目一杯彼らを追いかけられる年に1度の貴重な時間でした。

とはいえ、生憎僕の父は、愛媛育ちであるにもかかわらず木についている野生のカブトムシを初めて見たのがつい5、6年前の墓参りの時、という程、虫に関心がなく、積極的に林に連れて行ってくれるようなことはありませんでした。また湯ノ浦温泉一帯は山を切り開いたところにあり、25年くらい前は植林されたばかりの日本庭園がある以外、災害時の避難場所となる空き地ばかりで、庭園内のコナラの木も僕が片手で揺すれる程細くて若く、樹液など出ていませんでした。が、日中、車で宿の周りを走っている時に、外灯の下に多数のカブトムシの死骸を見つけ、そうか、木はないけれど、周囲の山からここの明かり目がけて飛んでは来るんだ、それを捕まえればいい、と、夕飯の後にパトロールするようになったのが始まりです。

P8080007.jpg今治にもいわゆる雑木林は少なく、広葉樹林はカシやマテバジイの照葉樹が中心となっている。1年を通じて降水量が少ないところで、乾いている木々が多いので、川沿いやため池の周りを探すのがコツ。写真の林は大きな木こそないけれど、奥にあるシラカシの木に、ヒラタクワガタ、ノコギリクワガタ、そして稀にミヤマクワガタが集まる。

外灯の数自体3つ4つに限られ、効率よくまわることはできるものの、採集できるのは見回っている時に運良く飛来してきていれば、の条件次第なので、都会の昆虫少年の気持ちを満たす程は捕れません。夜だけでは満足できず、6時にひとり起き出し、朝も見回るようになりましたが、こちらはほとんど成果なし。見つかるのは、昨夜にはなかった礫死体や、鳥に腹部を食われた直後でもがく悲惨な姿でした。中には、その頃は東京のデパートでもほとんど見たことのないヒラタクワガタの漆黒の大きな頭の死骸もあり、とても虚しく思ったものです。収穫は、都会にもいるコクワガタを含めてでさえ、1週間で5、6匹がやっとでした。夜飛んできている虫を、なんとか効率よく捕まえてしまいたい、そう願って思いついた秘策が、灯火にバナナトラップを仕掛けることでした。

バナナトラップとは、バナナをストッキングに入れお酒をふりかけて発酵させた後、それを木に吊るして虫をおびき寄せるトラップ=罠で、今では子供向けの本にも必ずといってもいいほど書かれているごくごく一般的な採集方法です。が、たぶん、僕は本土でバナナを使い始めた最初の方の虫屋だと思います。まして、外灯にバナナトラップを仕掛けるというのは、今なおやっている人は珍しい奇想天外な策なのではないでしょうか。

昔から南西諸島では遺棄されたパインやバナナ畑でクワガタが採れ、それを元にトラップは考案されたものらしく、1985年頃、すでに沖縄諸島で虫屋の方々が使っておられ、専門誌にも一晩で100匹採れるなどと紹介されていました。ですが同時に、それを記したどの記事にも、本土では全く効果がない、と書かれていたものです。中学生になる前後だった僕は、沖縄諸島に行く機会はないし、今治にいても林に連れてってもらえることなんかない、しかも南の島でそこまで有効な手が、四国では無効というのは不自然ではないかと考え、このトラップを外灯の下に仕掛けてみよう、そうしたら明かりに来た虫をつなぎ止めておけるかもしれない、とやってみたのです。

結果は、予想以上の大当たりでした。特にそれを仕掛けた初日の夜と次の日の朝の興奮は、今でも忘れられません。何があったのかは次回に。

P1070433.jpg湯ノ浦温泉周辺のコナラの樹液に来ていたノコギリクワガタ。この一帯のノコギリは成田のような大型は少なく、中型以下が多い。それは、幼虫時代の生息域が競合するヒラタクワガタの方が大きな個体を出し優位に立つからではないかと考えられる。対して成田周辺、北総地域には、湿潤な気候を好みとりわけ幼虫の耐寒能力が低いヒラタクワガタはおらず(千葉で生息しているのは冬場暖かい主に沿岸部で、しかも小型)、成虫が乾燥にも強いノコギリクワガタがニッチェを独占し、大型化している。







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2008 今治の夏 〜夏の遊び方教えます4〜

桜井海岸での海水浴は、早い時で15時くらい、遅い時で16時過ぎまで。綺麗な海を見ていると、まだ泳いでいたいという気持ちもなかなか打ち消せないのですが、これから夜も楽しいこと待っているので、湯ノ浦ハイツに戻ります。真夏の、夕方から陽が沈むまでの時間の瀬戸内海は、風が止み、いわゆるなぎの状態。広島側でもそうですが、愛媛側でも本当に美しい。「瀬戸内海を誉めるにはまず日没を待て」とでも言いたいです。

それから僕の両親と妹のチエは、テニスへ。1時間わずか300円。IMG_0265.jpgショーゴは2歳半で僕の両親にラケットをプレゼントされ、今治滞在の時だけかじります。実は僕も子供の頃テニスをやっていたことはあるのですが...。僕はこの時間、夜のクワガタ採りのための下見やトラップ仕掛けに行きます。以前は車を飛ばして、湯ノ浦から山の方、朝倉や丹原、玉川ダムの方へドライブしながら虫採りをしていたこともありましたが、だいたいの道は憶え、どこに何がいるのかが掴めた最近は、むしろ遠出をしなくなりました。つまり、湯ノ浦ハイツ周辺は、そこだけで事足りる程、自然が豊かなのです。

各々宿に戻り、夕焼けを見ながら、湯ノ浦温泉の大展望風呂で1日の汗を流し、さらに部屋で高校野球を見ながらまったりし、全員の準備が整うと夕食タイム。湯ノ浦ハイツでは、今治の郷土料理が存分に楽しめます。言わずもがな、お刺身はじめ魚介類がおいしく、僕はここで魚の味を憶えたようなもの。中でも鯛のかぶとやメバルの煮付、そして鯛飯は本当においしい。でも、もしあなたが一癖ある穴子がお好きなら、是非天然穴子づくしを頼んでみて下さい。本来はJR四国とのタイアップ商品ですが、事前に注文すれば宿泊客にも対応してくれます(ただし追加料金がかかるかもしれません)。その名の通り、最初から最後まで天然穴子を使ったコースで、天ぷらや蒲焼きはもちろんのこと、なんとお刺身やしゃぶしゃぶ(すき焼き)もあります。抹茶塩で食べる天ぷらは、究極の天ぷらともいうべき旨さです。刺身は癖のある皮目を焼いたり湯引きしたり仕事しているので、臭みがありません。しゃぶしゃぶなんてもう、お酒が飲めない僕が中ジョッキを空けてしまうほどです。綺麗な海で捕れた新鮮な穴子だからこそできる穴子づくしは絶品の一言!1年のうちで一番楽しみにしている食事です。

あ、そうそう、愛媛の山の幸を楽しむこともできますので、海の幸が苦手な方はそちらも。去年はキリンビールの「選ぼうニッポンのうまい2007」キャンペーンにも選ばれた鬼北熟成雉(きじ)を出していただいたのですが、これもまた、旨いのなんの。愛媛産には「愛」があります。皆さん、おいしいものを食べに、愛媛に、そして今治に来て下さい!

って、よそ者の僕が言うのも変だけど、ま、いっか。

ところで、湯ノ浦ハイツの厨房の皆さんにはいつもご迷惑をおかけしているのですが、日中、海で釣り上げた小魚達も、お願いして調理していただいています。DH000023.jpg例えば左のように揚げてもらっていますが、どうも2度揚げして下さっているらしく、骨まで柔らかく食べられます。いつもすみません。でも自分達で釣ったさかなをおいしく食べられるのはなんともいいがたい至福の時です。家族の話も盛り上がります。

以前、いつもよりほんのちょっとだけ大きなチヌを釣って帰ったら、右下のような洒落たサプライズを。DH0009.jpgIMG_0145.jpgこの姿造りに僕はとても感動し、数年たっても忘れずにいたのですが、ショーゴの記憶にもあったようで、今年生まれて始めて釣り上げたチヌも、「お刺身になりませんか?」とお願い。するとハイツの板前さん、心意気が凄いです、あんなに小さなチヌもちゃんとお造りにしてくれました!P1070480.jpgショーゴはじめ一家揃ってもう大喜び!忙しい時間に、飛び込みで入って来たものすごく面倒なお仕事だったでしょうに。どうもありがとうございました。ショーゴもこの感激はずっと忘れないでしょう。







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2008 今治の夏 〜夏の遊び方教えます3〜

桜井海岸の海水浴場「桜井パーク」は、90年代初頭まではそこそこ賑わっていたのだけれど、今では週末でも閑散としています。その理由は、お客さん側にだけでなく、海水浴場側にもあって、とにかく、人をもてなすサービス業の意識が皆無。昔は沖にあった、飛び込み台や筏が漁業権との絡みでなくなり遊びにくくなったのを、なんとかして埋めようなんてさらさら思っていないらしく、お客さんが来ないのも無理のない話。でもお陰で我が家はほとんどプラベートビーチのように使わせていただいています。前回、平日なんて他にお客さんいないことも、なんて書きましたが、ほらこの通り。

IMG_0197.jpg
嫁さんとまだ1歳になっていない時の下の子カンタ。これは一昨年の写真ですが、だ〜れもいません。ちなみに後ろに見えているのは石鎚連山。

IMG_0178.jpg
こちらは少しアングルを左に向けた場合。香川県丸亀市の方角です。5キロ先に見えているのは桜井から湯ノ浦へかけてのシンボル的存在、平市島。水がとても綺麗ですが、これはその年や日によってかなり差があります。写真の2006年は、海も空も澄み切っているいい夏でした。

さて、そんな何もない海水浴場で、何をしているのかというと、もちろん泳いでいるのですが、沖に目標となるものが何もない中、ただ泳いでいるのではないんです。魚釣りをしながら泳いでいるのです。

今から20年くらい前でしょうか、シュノーケリングの道具を身につけ、もぐって海の底を見ていた時、僕は10〜15センチくらいのネズッポの仲間が、砂にカモフラージュして見にくいものの、実はたくさんいるのを見つけました。この魚は、普通にコチとかメゴチとかいわれていますが、本当は分類学的にはマゴチやメゴチとは全くの別種なんだそう。しかも細かく見ると数種類に分かれるみたい。でもこのブログでは以後「コチ」で通します。この「コチ」、キス釣りの外道とされる投げ釣り好きな方なら誰もが知っている魚ですが、なんのなんの、素揚げや天ぷらにしたら頭ごと食べられるむちゃくちゃうまい魚です。祖父は「ションベゴチ」と言ってましたが、どういう意味かわかりません。僕は簡単に釣れることからずっと「ションベン(小便)ゴチ」だと思ってました。

閑話休題。で、その当時、父が2日に1回の割合で、砂浜の端にある防波堤まで行って釣りをしていたのですが、これがたいした釣果がない。その「コチ」が2、3匹と小さなハゼ、そしてたまにキス(シロギス)やギザミ(関東ではベラ)が釣れる程度でした。砂底に張り付く「コチ」を見て、こんなにおんのやったら手で釣ろうわい、と、なりきり今治弁で思いついた僕が、キス釣りの仕掛けにゴカイをつけ、それを手にして彼らのいる底に垂らすと、案の定、釣れるわ釣れるわ、「コチ」ばかりでしたが簡単に10数匹を釣り上げました。そりゃそうです。魚が見えててその前に餌を下ろすんですから。喰い初めでは引かず、ちゃんと食いついてから引き上げるのは、釣り堀以上に簡単。しかし相手はそれでも天然の魚。これが面白くって面白くって、以来、泳ぎながら釣る、釣りしながら泳ぐようになりました。もっとも、よく釣れるのは波打ち際に近い棚になっているところで、しかも潮が引いていると沖まで歩いていけるくらいの遠浅のビーチなので、泳ぐというよりはただ浅瀬で浮かんでいたり、暑いから肩から下を海に浸かっていたりするだけのことが多いです。

そうして編み出した遊びですが、男の、あるいは僕の習性として、そのうち「コチ」釣りには満足しなくなりました。やっぱりキスやギザミが釣りたい、となる。本で調べて、キス釣りは餌を動かさないとダメ、そしてギザミは岩場に生息する、というのを学びました。で、仕掛けを変えたり針を変えたり、釣る場所を変えたりと研究。キスは、道糸を長めにして泳いで流していると釣れるようになりました。ギザミは干上がった時に海岸から20メートル程のところに出現する岩場の周りにいけばキスよりも簡単に食いつくこともわかりました。彼らは「コチ」よりも釣るのにテクニックがいるし、引きも強いので、なるほど、「コチ」が外道とされるのがよくわかりました。

さらに、5、6年前だと思いますが、ギザミがたくさん棲むその岩へ向かって泳ぎながら釣り針を垂らしていた時、肩ごともっていかれるような強烈な引きで危うく溺れそうになったことがありました。なんだなんだと岸へ戻り、夢中で糸をたぐり寄せると、20センチ近いチヌ(黒鯛)が釣れていて狂喜乱舞。それまでは水が澄んでいる時に姿を見かけることがたまにあるだけで、釣れることなどなかったのですが、偶然針にかかったことで、以来、僕の狙いは専らチヌとなりました。が、しかし今なお、これ、という確実なコツを見いだしてはいません。針についてのみ、チヌ用に大きくしたら他の魚さえ釣れなくなって面白くなかったので、キス用の7号や8号を使うこと、さらに返しが摩耗していると外されてしまうので、新しいのに頻繁に交換すること、という様に落ち着いています。砂浜から突き出る排水溝の周辺や、ギザミのいる岩の周りでその姿を見ることは多いのですが、彼らは警戒心が強いのか、簡単には食いつきません。水がやや濁っていてこちらの姿が見えない状況で、泳いだり歩いたりして、餌を動かす、キスと同じやり方がいいようですが、狙っている割には、まだ確率が低いです。

そんな釣り遊びですが、2000年に初めて今治に連れて行った嫁さんにも好評で、最初は触れなかったゴカイを今では自分でつけて「コチ」やギザミを釣っています。泳ぎがうまくないので、流石にキスやチヌは捕れませんが。ショーゴは去年まではそれを見ているだけで、餌にかかった時に持たせてもらい、ピクッピクッと引く感覚を楽しんでいたのが、小学生になった今年は、僕もやってみたい、と。まだ泳げないので危ないけれど、まぁ、背の届くところで、僕がそばにいてやればいいだろう、運がよければ「コチ」くらいなら釣れるだろうと、初めて持たせてみました。

大喜びで釣り出し、10分もたたないうちに、生まれて初めて自分の力で魚を釣り上げた写真がこれです。

P1070463.jpg
「パパ〜、僕ってすごい〜!?」

P1070472.jpg
体調15センチ程のチヌで、ショーゴは、大興奮。すごくビクビクッて来たんだ、あ、鯛だ!、ってすぐわかったよ!!パパも頑張って釣ってね、と、それからずっと得意満面に語っていました。

ちなみに僕はというと、このままでは父親の沽券にかかわると必死になって釣り、なんとか同じサイズのチヌ1匹とそれより小さい2匹をヒット。親子で、「パパの方が上手だ」「いや僕の方だ」と1日中言い合っておりました。







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2008 今治の夏 〜夏の遊び方教えます2〜

今治湯ノ浦ハイツに泊まっての僕の夏休みは、実は、何か特別なことをするわけではありません。たま〜にスペシャルなイベントがあったりしますし、歳相応に体力や使えるツールが充実して(あるいは減って)変わったところはあるものの、根本はほとんど変わらない毎日。それを30年続けています。

続いている、ということは、何か努力をしているのかというと、それが全く違うんです。楽しくて飽きないからやめられない、というただそれだけなんです。真夏の降り注ぐ陽光、煌めく瀬戸内海、そこに浮かぶ蒼い島々。あの美しい夏の風景の中に溶け込んで遊ぶ1週間は、僕にはまさに夢のよう。目を閉じてその時間を思い浮かべただけでも幸せな気分になれる程です。

いったいそこまで楽しいなんて、具体的に何をしているのか、1日を追ってみましょう。たぶん、ほぅとうなづかれるか、呆れられるかのどちらかだと思います。

まずクマゼミの鳴き出しに負けじと6時には起き出し、クワガタ採りのパトロールに行きます。成田に住む今ではノコギリクワガタもカブトムシも珍しいものではなくなったのですが(というよりも、それが珍しくないところをあえて選んで住んだのですが)、東京っ子だった子供の頃は、ここで捕まえる虫達は最高の宝物でした。これは近々、別枠で詳しくお話ししましょう。

歩きだけだったり車を使ったりといくつかパターンがある朝のパトロールを1時間ほどし、程よく汗をかいた後、朝風呂に入ります。朝から温泉です。そして、すっきりしてから朝ご飯。湯ノ浦ハイツはビュッフェ形式なんで、朝からしっかり食べる我が家にはありがたい。デニッシュ生地にみかんを練り込んだ地元ベーカリーのみかんパンがおいしいのですが、今年はバターの高騰のせいなのでしょう、バターのリッチな風味とコクが落ちてしまっていたのがすごく残念。

それから9時くらいに宿を出て、今治市中心部に近い「さいさいきて屋」で昼ご飯の買い出し。この「さいさいきて屋」は、JAおちいまばりが地産地消と地域農業の活性化を目指してオープンしている、JAの国内最大規模の直売所で、今治の農産物だけでなく、魚介類や総菜まで新鮮でおいしいものをとても安く手にいれることができます。以前は小さいスーパーのようだったのですが、2年前に移転し大きくなりました。いつも地元の方々で繁盛していますが、観光客にとっても魅力的なところですよ、今治の観光協会さん。お薦めルートに入れるべきですよ〜。我が家は、まだ生きている地の海老や車海老と、鯛飯や蛸飯、それにしまなみ海道の島で作られたぶどうなんかを買います。

海老は、関東では「さる海老」といっている小さな海老で、足が早いために都市圏に生食用で出回っているのを見たことがありませんが、寒い地域の甘海老に負けないうまさ。子供の頃、祖母が行商からどっと買って茹でて食べさせてくれましたが、僕は海辺の地元でしか食べられない生の方が好き。ショーゴは1歳半でこの味の虜になり、今では1人で15尾くらいを平らげます。車海老は近畿圏に出荷できない規格落ちの小型のものが100g300円くらいと半端なく安い!鯛飯と蛸飯はいずれも今治を代表する炊き込みご飯で、湯ノ浦ハイツでも夜にとてもおいしいのを出していただけるものの、短い滞在中しか食べられないのを惜しみ、昼にも買っています。色んな生産者の方のが売られていますが、武田さんという方のがダントツ!というのが我が家の一致した意見。デザートのぶどうは主にピオーネ。愛媛は柑橘のイメージが強いですが、実は上質なぶどうも作られています。中予の五十崎という盆地のぶどうが評価が高いのですが、今治周辺でも、日照量が多い上に海の風により1日の寒暖の差が激しい島々で作られるぶどうは、美味の一言!

お昼ご飯を買い揃えたら、白砂青松の美しい、桜井海岸へレッツゴー!ここで夕方まで海水浴です。えっ、ただ泳ぐだけ!?と思われるかもしれませんが、もちろん、それなら、毎日なんて行かないはずです、僕ももうそう若くないので。実はこの桜井海岸ならではの遊びがあるんです。しかも、この10年くらい、海水浴をするお客さんがめっきり減って、ほとんどプライベートビーチ同然。1キロ近くある砂浜ですが、平日の昼下がりには、なんと我が家だけなんてこともあります。今治の子供達は、こんな綺麗で楽しい海を、どうして放っておいていられるんだろう。僕が子供の頃は、地元の真っ黒に日焼けした泳ぎの上手い子達でいっぱいだったのに...。

ということで、次回はその桜井海岸での海遊びのお話から。今年はなんと、我が家の6歳児が、自力で鯛を釣りました!







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J.A.ガビー

Author:J.A.ガビー
愛媛人の父と東京人の母の間に生まれた、東京生まれの愛媛人。瀬戸内が好きで好きで、人生最大の失敗といえばしまなみ海道に生まれなかったことだと思う。毎年夏には今治へ「帰る」。それが一番の幸せな時。

広島東洋カープの熱狂的応援(キャッチャーマニア、倉大好き!)、自然&街散策、ガーデニング、日本産クワガタの採集と飼育、料理、競馬、お笑い、フランス語と、興味あることがたくさんあって、収拾をつけるのが難しい、そして楽しい。しばしば子供のようなと形容されてしまうが、なんとでも言いなさい、これでも男の子2人の父親である!

お酒は飲めない、でもそもそも飲む必要がない程、ハイテンションな時多く、早口で毒舌。フランス人の友人にさえ、口が悪いと褒められたことがある。さらに、天然の姉さん女房に四六時中鍛えられ、ボケツッコミには自信ある。モノマネも得意。球場でヤジで笑いをとれるのは、唯一全国レベルの特技だといえる。

何をするにしても、自分ならこうするを考えてしまうスタイルは、損なのか得なのかはわからないけれど、僕の人生は今のところ上々だ。最近上司に、AKYと賛辞を送られ、僕はとっても嬉しかった。

Produced By 曽我部 貴司

*このブログは、僕の興味に合わせてテーマが多岐に渡ります。どれにも興味が湧かないというという大変残念な方は置いとくとして、全部に食らいつけるという方もそれはそれでちょっと心配ではあります。w

テーマを左の「カテゴリー」欄にまとめてあります。もし魅かれる話題がありましたらそちらをクリックしていただけると、まとめて読めるようになっておりますので、是非どうぞ。

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