県大会、天晴れ



はじめ、の声と同時に果敢に攻めるカンタ。
初太刀の面はいきなり惜しかった。でもこれは地に足がつかず出小手でやられるパターンか、とさらに弱気の虫が頭をよぎる父。ただ動きに硬さは見られません。いかにも東海大浦安という「正剣」の相手に対し、負けず劣らずの美しく、かつ気合い充分な姿勢はいつもより大きく映りました。一瞬、どちらがどちらかわからなくなる時があるほど。しかも、一足一刀の間合いの攻防を丁寧に行い、そこから攻めた、と思うとそれは大概カンタ。さらには相手の得意な応じ技もことごとく潰していく堂々たる戦いぶり。
案外いけるかも、と思い始めた2分過ぎ、引き面を見せてからの面がいい感じだったのを見て、ひょっとしたら、と色めきました。そして2分50秒、会心の小手。打ち終わりの姿勢が少し崩れたのと、相手選手に、カンタ曰く「打たれても打たれていないように見せる技術」があり、旗こそ上がりませんでしたが、向こうの手元は完全に上がっていて、これは本当に惜しかった。その後も果敢に攻め続け、本戦が終了。4分もつとは思わなかった。
延長に入ってからの初太刀の面はまたもや相手の頭を捉え、完全に試合を支配している感じでした。そして1分、強烈な相面!やった、とった!と思ったら、3本の旗は相手の赤に。後に確認したら、体勢はカンタも、相手の小さく、でも強い出頭面が先。もしも左足を継がずに右足の踏み込みのみで打てていたら勝っていた、惜しかった、とは、動画を見て下さった高段者のお言葉で、でも非常に強かった、勝っても不思議ではなかった、褒めてあげて、とも。見る人が見ても紙一重の敗戦だったようです。
予想を遥かに上回る試合内容に、僕は、悔しい以上に満足感がありました。カンタも、試合後いつもなら僕が近づくのを避けるそぶりをするのに、今回は試合場から出てくるのを待ち受けていた僕に近づいてきて「やられちゃった」と。よくやった、見事だと抱擁した僕に対し、カンタは、対峙してみて流石トップ選手と感じた、外から見ているよりも力の差がある、感動するくらいの綺麗さ、強さだった、と悔しがりながらも清々しい感想でした。
その後現れた顧問の先生は本人よりも僕よりも興奮状態。俺は勝つと思っていた、いい勝負し出してこれはいったと思った、学校名があれば旗が上がったかも、悔しい、と。そして、相手高の先生が「途中でやられたと思った、実に素晴らしい剣道をする子だ」とお褒めの言葉を下さったとも教えてくれました。
その後、その相手選手が2回戦以降勝ち上がっていくのを密かに応援。4分かけずに倒していくおかげで、ますますカンタの一戦が輝くような。このまま優勝して欲しいし、するのだろうと思っていましたが、準々決勝で同門対決、しかも団体戦のメンバー外の選手に敗れ、第5位でした。彼ら含めベスト8に4人。いやぁ。恐ろしい学校だ。



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文武不岐
この大会は群馬県の高校以外は、各都道府県のベスト8以上と、それに準ずる実力をもつと認められることが参加条件。カンタの県立高校は該当しないはずなのですが、先生のお力で下駄を履かせていただき「ベスト8に準ずる実力校」として出場が認められました。それが決まったのは、前回の記事の錬成大会終了直後。18日からは定期試験のため部活動は原則禁止期間、しかも成田から片道3時間近くかかり土曜日に前乗りする必要がありながら、生徒と先生、そして保護者の熱気がその内規を上回ってしまいました。僕も車出しで帯同することに。
もっとも、学業の方は決して誉められたものではない彼らは、大会参加を理由に成績がさらに下降してしまうのはよろしくなく、土曜日は宿泊施設に早めに入り勉強時間を確保することとしました。となると、会議室のようなところを借りてお互いの目線を気にしての学習が良い、寝るのも閉じこもってしまわないような大部屋で、とイメージ。ちょうど会場のすぐそばにそんな合宿にぴったりな公共施設を見つけました。あとは土曜日の日中彼らを乗せて連れて行くのみ、150km超の運転はちょっときついが群馬県の美しい山並みも見られるし、頑張ろう、と思っていたところ、なんと土曜日は朝から錬成大会に参加、それもさらに遠い沼田でとなり、朝6時前に出発する強行軍に。長距離運転が好きではない僕には重荷でしたが、十何年かぶりの関越道に乗るや、次第にその見事な山容が迫ってくる赤城山と榛名山の合間を、武尊山目がけてすり抜けていったのは、なかなか気持ち良かったです。
錬成大会は翌日の大会出場校のうち、親しい間柄の先生方が声を掛け合って組まれたようで、先月こちらに来てくれた中で最強に見えた沼田高校はじめ強豪校がずらりと。とはいえ力をつけている息子達、ちょっとは良いところを見せてくれるのではと期待したのですが、到着が遅くなりアップができなかったこともあってか、午前の部では散々な目に。


で、その日最後となる試合。キャプテンのカンタがこの試合は勝ちにこだわるぞと声がけし臨んだ、静岡の学校との戦い。




...定期試験の結果については、それなりに。まぁ行っても行かなくても変わらなかっただろうというのが保護者達の見立てです。それよりも驚いたのは、大会前日に完敗した相手校、なんと準優勝していました。小手で2つ取られた時やってしまったと思ったが、でも見たことないレベルで速かったんだよね、と言っていたカンタの証言通り、実は全国レベルの超強豪だったわけで、むしろそれからしたら見せ場もあって悪くなかった試合内容ではないかと。
剣道も勉強もと期待値が高い彼らは大変ですが、でも両者は相関関係にあって、頭の使い方や努力の仕方に違いはないんじゃないかなぁ、と僕は思っています。


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早めの準備
コロナの第5波の影響で、8月の上旬から一切の活動ができなくなった県立高の剣道部。私立はやっているのに、オリンピックはやっているのに、と悶々と過ごした夏の後、10月になってようやく解禁。息子の証言では、顧問の先生もこの間白髪が増え、目が死んでいたそうですが、稽古再開して態勢を整え直すや否や、毎週のように熱い練習試合を組んでくれています。それも先生の人脈を駆使した強豪校とばかり。

うちのチームは7名(うち高校で始めた初心者が1人!)しかおらず、怪我や体調不良のメンバーもいて、その7人もなかなか揃わない中、カンタはどの練習試合でもフル出場をさせてもらっています。




一番の課題は、しばし高段の方々にお誉めいただく綺麗な構えが、まだ維持し切れないところ。勝負を焦ったり勝ちたい気持ちが強まると、肩に力が入り、重心が上がり、足幅が広がる、そうして少し崩れた時にやられたり、打突の機会を逃す、あるいは打ち切れないということが多いようです。本人曰く、半年かけてようやく形を「作れる」ようにはなったけれど、まだ染みついておらず不安定、そしてその形自体もまだ理想には至っていない、のだとか。
見学している僕も、先生の指導を聞きなるほどと理解したことが多々あります。さらに一緒に観戦しているお父様が高段者で色々伺えるし、動画を送ると適切なフィードバックをして下さるカンタの師匠のお言葉もありで、前には全くわかっていなかったことが少しずつ見えてきた感じです。なるほど、「打つ」ためには、相手を崩すための先んじた「攻め」がなくてはならず、それには準備である「作り」を早くする、その間ずっと中心をブレずに支配できるかが大事、カンタはそれができつつあるのだな、と。1流バッターほど構えが早く、ボールを体の軸を動かさずに余裕をもって迎え入れるのに非常に似ています。いや、物事全てに通じるな、早く準備を整えたもの勝ちなのは。もっとも、この学びを僕自身が体現するのはとても難しく、自分の稽古には満足に活かせていませんが、少なくとも、観客席から見続けてきた野球と同じく目は肥えてきました。時にすぐに癖が見えたり、やるやられるの瞬間が先にわかるくらい。
千葉県の高校新人戦は、本当なら11月にある地区大会がなくなり、年明けに、県大会として一発勝負することに。カンタが成長しているのと同様、チームメイトも皆、強くなっているのですが、さてどんな結果が出せるのか。県立進学校の大旋風を期待したいです。


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勇往邁進






6年越しの銅メダル

我が家がこの剣友会にお世話になって丸6年。始めた時は、5人を揃えるのがやっとの小所帯。なので、春と秋の大会に出場しても誰1人一本も取れずに負けた団体戦もありました。個人戦でも全員が早々に敗れ、閉会式まであまりにも時間が空くので、みんなで早退してしまったこともありました。習い始めて2年半、やっと一本勝ちを収めてから急に強くなったショーゴが、大将として大会に出場していたのが6年生だった3年前。でも、その時は前の4人がみんな負けてしまったことで、勝っても嬉しそうにはしていなかったのが思い出されます。個人戦では3回戦で延長の末敗れ、中学ではソフトテニス部へ転向してしまったので、それがショーゴの最後の剣道公式戦。あるいは十分に勝ち癖がつかなかったために辞めてしまったのかもしれませんが、剣道をやったおかげで、テニスでも勉強でも、特に心の部分を整えられ、成績を自力であげられるようになったのは間違いありません。
カンタはショーゴよりも剣道歴はすでに長く、丸5年。公式戦初出場はショーゴが初めて一本とった3年3ヶ月前。その時はなすすべもなく敗退。


生憎、準決勝の相手は全員が男子6年生と見え、明らかに格上でしたが、それでも各自よく奮戦。カンタも、敗れはしたものの堪えに堪えていい稽古ができた感じでした。

4月からは大将に指名されました。他に6年生がいないからだけれど、1年後には流石と言われるように、心技体、磨いていこうね。



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